2.羽鳥もと子の報告

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「あたし、これから打ち合わせがあるんですよ。その話は後でしません? (うなぎ)屋か焼き肉屋で」 「……がっつりボリューム系だな」  思わず胃のあたりを抑えた。 「お寿司でもいいですよ。あたし一度でいいから銀座の寿司屋に行ってみたい……」 「俺も行ってみたいよ。誰かの(おご)りで」 「あら、専務はよく行かれているんじゃありません?」 「接待(せったい)で食ったものなんて食った気がしねえよ、というかほとんど食えねえよ」 「あら勿体(もったい)ない」  本当に勿体ない、くだらない。  響が思うように世の中がシンプルだったらどんなにいいだろう。 「じゃあ、平野(ひらの)で」  成瀬は近所にある老舗鰻屋(しにせうなぎや)の名前を口にした。 「え、いいんですか」  羽鳥の小さな目がまんまるになる。
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