2.羽鳥もと子の報告

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 それでも、一度ついたファンは離れない。  それが強みだった。 「今後は少し考えないとな……」  知名度を上げたい、そのためにはスキャンダルはご法度(はっと)だ。  いや、最近は逆パターンもある。  スキャンダルで名前と顔を先に売る。  いわゆる売名行為(ばいめいこうい)ってやつだ。  だかそうやって売るものには賞味期限がある。そしてその賞味期限は短い。 「いや、賞味期限、というより消費期限、だな」  期限が過ぎたらあっという間に消えて忘れられる。  そもそもスキャンダルになってもつぶれないほどのメンタルが響にあるのかどうかも成瀬にはわからなかった。 「あの見た目だから、注目はされるんですよ」  カラー刷りのメニュー表を食い入るように見つめながら羽鳥はさばさばと話した。 「だけど食事の誘いは断るし、お茶すら行きませんからね。あそこまで人付き合いが悪いとマジ、仕事に差し支えますよ。いまいち売れないのもそこらへんが引っかかっているんじゃないですかね。本人は愛想で売れるくらいなら売れない方がましだなんてうそぶいてますけど、嘘ですね」
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