7人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
「どうした?」
「成瀬さん、いいんですか。思った以上にお高いんですけど」
「あ」
気が抜けた。
「どうぞどうぞ、お気になさらず」
笑いがこみあげる。
「羽鳥さんには苦労をかけているから、一度ご馳走しておかなきゃと思っていたからね。遠慮せず好きなものを頼んで下さい」
「じゃ、遠慮なく」
丸い顔がにんまりとさらに丸くなる。
「松コース、いかせていただきます」
「コース……」
う巻に肝吸い白焼き、うな重と鰻づくしのフルコース、本気で遠慮なくきやがった。
「飲み物は?」
「飲むより食べる派です」
「少しは飲めるんでしょ?」
「じゃあ、一杯だけ、ビールを」
にやりと笑う。
「飲ませなくったって、喋りますよ。心配でたまらないんでしょ? 今はあたしが一応マネージャーですけど、成瀬さんだってまだ片足突っ込んでるようなものですもんね」
最初のコメントを投稿しよう!