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「俺にはこれがあるから」
ビール瓶を掲げると「成瀬さん、アルコールオンリーは体に毒ですよ」と小皿にう巻をひと切れ乗せてよこした。
「うな重小、お持ちいたしました」
うな重、小! 羽鳥は唸った。
「あたしはコースなのに、うな重、小、って。食べづらいじゃないですか。専務」
「いや、最近、あんまり食べれなくてな。すまん。気にせずやってくれ」
成瀬は胃のあたりを抑えた。
「成瀬さん、飲み過ぎなんじゃないですか」
「女房と同じことを言うな」
「でも、マジで一度病院へ行った方がいいですよ。なるべく早く」
もう行った、と心の中で成瀬はつぶやきながら「そうだな」とグラスを置いた。
今更、飲むのをやめたところでそんなに大差はないだろう。正直、うまいとも思っていない。
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