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「まあ、そんな素っ頓狂な声を出すならそうなんでしょうねえ。ふーん。じゃあ、なんだろ。やっぱり相手が相手だからですかね」
その相手は誰なんだ。
じりじりしながら、白焼きにわさびをちょいと乗せて口に運ぶのを、羨ましく見る。
躊躇なく、食えるっていうのはいいな。
俺も少し前まではそうだったんだが。
白焼きか。
日本酒と合いそうだな。
もっとも、俺の体はもう、それをうまいとは感じないだろうが。
「専務。半分、食べます?」
羽鳥が箸をおいた。
「いや」
「じゃあ、そんなに羨ましそうな顔で見ないでくださいよ」
「羨ましいんだよ」
「は?」
「そんなふうに食べられるってことがさ。年は取りたくないもんだな」
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