2.羽鳥もと子の報告

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「な、何を?」  つられて成瀬の声も低く小さくなる。 「二人がハミングしてるの。外国の、誰の曲だったかな。二人ともその曲が好きだったみたいで。すっごく良かった。もう、くっつけ!って思いましたねその時は」 「kiharu(きはる) & Hibiki(ひびき)、いいじゃないか」 「Hibiki & kiharuじゃないんですか?」 「そりゃうちの方が後付(あとづ)けだろう。キャリア的にも事務所的にも」 「そうなったら是非(ぜひ)、ドラマでタイアップお願いしたいですね。コマーシャルでもいいんですけど。須藤季春の所属事務所となら不可能じゃないですよね」 「……で、どうなった?」 「キスぐらいはしたんじゃないかなーとは思うんですけど」 「ダメだったのか」  こっくり頷く羽鳥の前で、成瀬は肩を落とした。 「タイアップも話題作りもダメか。響はなんでフラれたんだ?」  聞くまでもない気もしたが、一応聞いてみた。 「音楽性の相違(そうい)?」 「バンドを組んでるわけでもないのに?」 「だって音楽の話しか共通項がないんですよ? 響は他のことはどうでもいいんですから。響は異常! 食べることにも飲むことにも洋服にも興味がない。今のままじゃ駄目になる。声がきれい、声量(せいりょう)がある、だから何? 技術があってもハートがない、からっぽのくせに。あなたといるとこっちまでおかしくなりそう、さようなら。これが彼女の別れの言葉」
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