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「な、何を?」
つられて成瀬の声も低く小さくなる。
「二人がハミングしてるの。外国の、誰の曲だったかな。二人ともその曲が好きだったみたいで。すっごく良かった。もう、くっつけ!って思いましたねその時は」
「kiharu & Hibiki、いいじゃないか」
「Hibiki & kiharuじゃないんですか?」
「そりゃうちの方が後付けだろう。キャリア的にも事務所的にも」
「そうなったら是非、ドラマでタイアップお願いしたいですね。コマーシャルでもいいんですけど。須藤季春の所属事務所となら不可能じゃないですよね」
「……で、どうなった?」
「キスぐらいはしたんじゃないかなーとは思うんですけど」
「ダメだったのか」
こっくり頷く羽鳥の前で、成瀬は肩を落とした。
「タイアップも話題作りもダメか。響はなんでフラれたんだ?」
聞くまでもない気もしたが、一応聞いてみた。
「音楽性の相違?」
「バンドを組んでるわけでもないのに?」
「だって音楽の話しか共通項がないんですよ? 響は他のことはどうでもいいんですから。響は異常! 食べることにも飲むことにも洋服にも興味がない。今のままじゃ駄目になる。声がきれい、声量がある、だから何? 技術があってもハートがない、からっぽのくせに。あなたといるとこっちまでおかしくなりそう、さようなら。これが彼女の別れの言葉」
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