2.羽鳥もと子の報告

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「専務」  声が改まった。 「無理しないでくださいね。病院へ……」  羽鳥の言葉を成瀬は(さえぎ)った。 「もう行った」  成瀬はカバンを探って薬袋を出してみせた。 「ほら、胃薬を処方してもらったよ」 「なら、良かったです」  羽鳥は姿勢を正すと、礼儀正しくお辞儀した。 「ごちそうさまでした。お大事になさってください」 「響のこと、頼んだぞ」 「はい」  頼もしい笑顔につられて成瀬も笑顔になった。  頼むよ、本当に。  難しいやつだけど、信じられないぐらい不器用でまっすぐなんだ。  絶対に売ってやりたい。  ドームか武道館。  年内には必ず。  胃のあたりを押さえながら成瀬は誓う。  俺が動けるうちに、絶対に。
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