3.不協和音の始まり

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「いや」  成瀬は首を横に振った。 「困ったもんだ」 「一度現場に来てもらえませんか? として。響はあたしのいうことなんか、聞きゃしないんですから」  ため息交じりにぶつぶつ言う羽鳥にかろうじて言い返す。 「俺の言うことだって、聞きゃしないよ。あいつは」 「とにかく、来てください」 「わかった。あとで顔を出す」  あからさまにほっとした顔になった羽鳥は気が(ゆる)んだのか「年々こだわりが酷くなっている気がします。いいとか悪いとかじゃなくて、あれはもう病気ですよ、病気」とずっとためていたであろう言葉を乱暴に吐き出した。 「そこまで酷いのか」 「酷いです」
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