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「いや」
成瀬は首を横に振った。
「困ったもんだ」
「一度現場に来てもらえませんか? 元マネージャーとして。響はあたしのいうことなんか、聞きゃしないんですから」
ため息交じりにぶつぶつ言う羽鳥にかろうじて言い返す。
「俺の言うことだって、聞きゃしないよ。あいつは」
「とにかく、来てください」
「わかった。あとで顔を出す」
あからさまにほっとした顔になった羽鳥は気が緩んだのか「年々こだわりが酷くなっている気がします。いいとか悪いとかじゃなくて、あれはもう病気ですよ、病気」とずっとためていたであろう言葉を乱暴に吐き出した。
「そこまで酷いのか」
「酷いです」
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