3.不協和音の始まり

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 バッサリ言い捨てて羽鳥は両手を上げてみせた。 「あたしも限界。広瀬さんの頼みでも、もう、無理かも」 「そう言うなよ。頼むよ。羽鳥さんがしかいないんだから」 「必ず来てくださいよ。なるべく早く」 「わかった」  痛々しくて見ていられない、ってなんだよ。  乱暴にハンドルを切りながら、ナビを見る。  信号が赤になった。 「くそっ」  ブレーキを踏みながらなぜこんなに急いでいるんだ、と思う。  一刻を争うわけじゃない。  いつもの、響の悪い癖が出ただけだ。  そう思いながら胸騒(むなさわ)ぎがする。  苦い過去を思い出す。  あんな思いをするのは二度とごめんだ。
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