3.不協和音の始まり

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 仕事として成立させるために、学ぶべきことはたくさんあった。  協力と妥協。  時間とコスト。  なにより人との関わり方を肌で感じてほしかった。  しかしその結果得たものは、残念ながらないに等しいようだった。 「今度は何だ。またぶっ倒れられたら困るが」   信号が赤になり、止まるたびにため息が出た。  もういい加減この世界に慣れてもいいはずだ。  あいつの自己管理能力はどうなっている。  苛立ちは鈍い痛みとなって成瀬を襲う。  うっかりアクセルを踏み込みそうになる気持ちを押さえ、成瀬は顔をしかめながら制限速度を守った。  途中で予約注文していた料理をピックアップすると、昼前にはスタジオについた。
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