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「響!」
ばかなのか俺は。
相手はもう大人だ。
放っておけばいいじゃないか。
好きにさせておけばいい。
こんなことをしているから過保護だといわれるんだ。
そんな成瀬の思いを見抜いたかのように、石渡が後を追おうとする成瀬の腕をつかんだ。
「こんなこと、言いたくないけど、響のああいうところ、成瀬さん、あんたが甘やかしすぎてるせいだとオレは思うぜ」
無言でその手を振り払うと、頭だけ下げて走り去る。
そうかもしれない。
俺のせいかもしれない。
今一つ知名度が上がらないのも、番組からお呼びがかからないのも、俺の手腕が、やり方が、まずいからなのか。
「響」
いた。
成瀬の車のドアの前に突っ立って「早く開けて」と言わんばかりにドアの金具をかちゃかちゃといじっている姿は、大きな子供のようだ。
とりあえず、倒れてはいないことに安心した。
「今、開ける」
ロックを解除すると、あたりまえのように後部座席に乗り込んだ。
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