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「飯でも食いに行くか。このところ、ほとんど食べていないんじゃないのか」
バックミラーに映った響は顔をしかめ、小さく首を横に振った。
そのまま、着ていた上着をほほの上あたりまでひっぱりあげるようにして顔を隠すようにして体を丸めた。
レコーディングが始まると、響は液体しか口にしなくなる。
物を食べると雑音が入る、という主張はよくわからないが、本人が食べないというものを無理やり口に押しこむわけにもいかない。
「じゃあ、途中で何か適当に買うか」
反応はなかったが、途中で車を止め、デパ地下で目に付いた食べ物を買いこんで戻ると響は眠っていた。
なるべく静かに車を走らせ、急停車しないようブレーキを踏む時には徐々に力を加えるよう気を配った。
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