7人が本棚に入れています
本棚に追加
歩ける力が残っていることにほっとしながら荷物を抱えて後を追う。
部屋のテーブルにデパ地下で買った惣菜を所狭しと並べると、響は呆れた顔をした。
「サラダ、フルーツ,寿司、唐揚げ、弁当、これ何人分?」
「何が食べたいのか、わからなかったから」
とにかく何か食べろ、と響を無理やり椅子に座らせると、成瀬は風呂を掃除をしてお湯を張った。
「成瀬さん、残りは食べておいてよ」
そう言って浴室に響が消えていった後、成瀬はテーブルを見回してつぶやいた。
「ほとんど食っていないじゃないか」
もちろん、最初からこんなにストイックだったわけじゃない。
出会った頃は、炭酸飲料ばかり飲んでジャンクフードを食べ「運動なんてかったるい」と言い放つような生意気な少年だったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!