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体を動かすことが大嫌いなのに「体力が必要だからジムに通いたい」と言い出した時は驚いたし、他人にあれこれ指図指図されるのはごめんだと言っていたのに「ボイストレーニングに行くから」と自分で先生を探し、すべてを手配してレッスンに集中するために三ヵ月休みをくれと言われた時は正直少し怖くなった。
「大丈夫か?」
「大丈夫にするためにやるんだよ」
喉に悪いからと酒も煙草もやらない響が好んで飲むのは、ぬるめの水か果汁百パーセントのジュースと決まっていて、あまりにも律されたその生活はそばにいるだけで息が詰まりそうになる。
歌手の「響」はこうして誕生したのだった。
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