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けれど相変わらず周りには誰も寄っては来ない。
寄って来るのは思惑のある人ばかりだ。
今はもうそのことを何とも思わない。
「でも、売れなくなったらきっと捨てられる」
「まだ、売れてないだろう」
成瀬は響の肩を叩いた。
細い肩、その下に潜む必死な思いと鍛えられた筋肉、変わらない表情の下の熱い情熱、触れたらきっと一蓮托生、どうにもならないところへ堕ちて行く。
いっしょに堕ちていく覚悟はあった。
「こう見えてもいろいろ考えてはいるんだ。芸能界ってものを知るために芸能人と付き合ってみたり、恋の一つもしてみれば何か変わると思って」
「恋はしようと思ってするものじゃなくて、気が付いたらしているものだと思うが」
「古いな。今はマッチングアプリの時代だぜ? ちょっといいかもと思えば会ってみる、付き合ってみる、合わなければさようなら、はい次へ。そうやっているうちにいつかは運命の人に出会えるんだ」
「おまえ、まさか」
沢渡なつみ、日高ユリア、須藤季春、それ以外にも?
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