4.カウントダウン

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「どういう風の吹きまわしだ」 「売れるために何でもやる、って言っているんだ」 「本気か」 「僕は冗談なんか言わないよ。知っているくせに」 「俳優業でもか」 「主役じゃないならやってもいいかなあ」 「どういう我儘(わがまま)だ」  成瀬は苦笑いした。 「いきなり主役の話なんて、来るわけないだろ」 「真面目な話、僕に主役は無理だ。あまりにも時間をとられるし、おそらく演技もポンコツだろうし、化けの皮がはがれない程度のチョイ役で」 「確かにそうだな。でも、売れるためにはそれじゃ意味がないだろう。一気に名前と顔を売るなら……」 「やっぱりCMかなあ。僕、水のCMがいいなあ。水が好きだし、水は必需品だし、心から推せるし」 「そう、うまくはいかんだろう」 「だよね」  素直過ぎて気味が悪い。
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