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彼の人生、彼のすべてが注がれたその歌声がどうか届きますように。
ただそれだけを祈り、送り出す。
響には光が似合う。
彼の心がどんなに深く暗い場所に沈んでも照らす光があれば顔をあげ歌い出すだろう。
そら、最初の一音だ。
高く澄んだ声が響き渡る。
まっすぐに体の真ん中に突き刺さった声はやわらかな振動に変わり、あたりを揺さぶっていく。
歓声、指笛、拍手。
大きなうねりのような一体感に指先まで痺れていく。
響!
だれかが叫ぶ。
響!
もっと歌って!
もっと!
アンコール、アンコール、足を踏み鳴らし手を打ち鳴らし大きな声で広がっていく声、声、声。
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