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すまない。
良い夫ではなかった。
いい父親ではなかった。
それでも俺は結構幸せだった。
いい人生だったと思う。
長生きの約束は果たせなかったが、もう俺がいなくても響は大丈夫だろう。それが少し寂しく、とてもうれしい。
「あっ。お父さん、羽鳥さんからライブの中継映像が来てる!」
「極秘で送ります、って、ほら!」
妻と娘が差し出す四角い強い光。
マイクのハウリングの音。
歓声。
ああ、ライブだ。
そこに立っているのは響か。
何もかもをしっかりこの目で見ていたい。
そんな思いで見開いた目から、温かい液体が流れているのを感じる。
畜生。
あたりが滲んでよく見えないや。
でも感じる。
小さなスマートフォンに浮かび上がっている画像は荒く、音も酷い。
それでもわかる。
会場を包んでいる空気と熱気。
成功だ。
良かった。
ほっと息をつく。
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