4.カウントダウン

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 この体は音を出し響かせるための器。  僕は楽器だ。  最初の一音を放つ。  喉からではない。  体全体からだ。  放たれた声は会場を満たし、震え、共鳴していく。  どうか、どうか、届きますように。  僕のすべてが込められた祈りが。  遠く離れた、大切な人のところにも。    静まり返った会場に響の歌声が静かに満ちていった。
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