30人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
前田敦央の逮捕は連日テレビで事細かく報道された。
『皆様、一度はご覧になった事があるはずです。この男が──』
午後の人気情報番組の司会者はテレビ画面の向かって左側に立ち、ポスター中央の前田の写真を何度も指差しながら、画面右側のひな壇に陣取るゲスト達と、ああでもないこうでもないと騒ぎながら番組を進行した。
縦横に三人ずつ並んだ写真の真ん中に、司会者が左側から手を伸ばす。その度に画面には手配書がアップになる。
その結果、前田と同じくらい、その右側の写真の男、つまり「大島優悟」も何度も画面に大きく映し出されたのだ。
こちらも前田とはタイプが違うが「詐欺セブンのエース」と言われた美男子であった事が、彼にとっては災いとなった。
やっと気付いた本当の正体。正直な視聴者からすぐに「似た男がいます」との情報が警察に入り、なんとレジェンド詐欺セブンから二人目の逮捕となったのである。
気を良くした警視総監の秋元氏は、これからもギラギラと容赦なく諦めずに捜査を推し、進め、いつの日か九人全員をゲットしてポスターから卒業させてやりたいと取材陣に熱く語ったのであった。
既に視聴者から情報が入っている他の犯人に対しても、それぞれA・B・Kと別のチームを編成して動いているらしい。
「二人目の逮捕は皆様のご協力あってのものです。小さな情報でも構いません。
君って、もしかしてもしかして……と思われる人物が……」
今日もテレビに映し出される、九人のポスター。
それを見ながら震え上がっている者がいる。
写真右上の男、指原莉人である。
身の危険度は急上昇。
落ち着かないのは罪人の性だ。
最初のコメントを投稿しよう!