肆 翔波の求婚 ※

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 頭の中で、言葉がうろうろと駆け巡る。翔波様は僕を伴侶にと言った。では、婚儀の相手は。 「僕……?」 「そうだ、私が其方の相手では嫌か?」  嫌なはずがなかった。  僕が目を見開いたまま首を振ると、翔波様はそれは嬉しそうに顔をほころばせた。そして、もう一度僕に口づけた。優しく何度も繰り返される口づけが、段々深くなっていく。  龍族の体は、僕たちよりも体温が高い。抱きしめられた体が心地よくて、口づけが甘くて、ずっと縋りついていたくなる。  互いの舌を絡めて吸い合った後に、口の中に唾液が溜まる。それが滴り落ちて肌に落ちたところを、翔波様の舌が舐め上げていく。ぴちゃぴちゃと音が聞こえ、肌がわななく。首から胸へと舌が動き、触れられた場所が全て気持ちよくて仕方ない。翔波様の気が自分の気と交じり合い、まるで酔ったように頭の芯が蕩けていく。 「円珠の香りは甘いな……熟した水蜜桃のようだ」  大きな手が僕の膝を割り開き、翔波様は内腿の柔らかい所を強く吸った。長く熱い舌が、奥にある一つの孔を見つけて入り口を舐める。ぞくぞくと体が震え、舌が中に忍び込んでくる。 「あっ……翔波様」  長い舌が僕の中を探る感覚は、これまでにないものだった。まるで独立した生き物のように中で蠢き、体が痺れていく。足先までがびくびくと痙攣したように震えた時、翔波様の舌がずるりと抜けた。 「我らの唾液は痛みを緩和させ、快楽を与える。……相手を壊さぬようにな」  翔波様の瞳が、見る間に青から金色へと変化する。いつもの穏やかな瞳ではなくなって、初めて怖いと思った。それでも目を離せずにいると、大きな手が僕の体に触れる。触れられたところは、どこもぴりぴりと痺れて甘い声が漏れた。 「しょは……さ……あっ!」  何もない腹の下に触れられた途端、裂け目が生まれて中から二つの性器が立ち上がった。 「発情か。可愛らしいことだ」 「あっっ! だめ!」  口づけをされながら、温かく大きな両手でそれぞれを握られた。まだ使ったこともないモノを扱かれて、頭の中がどろどろに蕩けていく。翔波様の指がぐにぐにと僕自身に触れるたびに体が揺れ、涙がこぼれた。 「良いか、円珠?」 「わ、わからな……」 「其方達も我らも気を交わして発情すれば、ここから突起が生まれる。相手を逃がさぬように」  僕はそれまで気がついていなかったのだ。翔波様の手の中で、僕自身の姿が変わっていたことに。翔波様の手の中で育ち切った双頭が優しく扱かれ、突起を撫でられて僕は大きく震えた。
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