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「対価は、葉山———」
母の名前を言い掛けた瞬間、ブブっと、ポケットのスマホが着信を知らせた。電話に出ると編集者からで、確認し忘れたことがあったので、連絡したと言う。
「応募するときに本名を書いてくださったじゃないですか。振り仮名がなかったものですから、すばるなのかこうなのかお聞きしようと思いまして」
「昴、です‥‥」
そう答えた途端、昴の胸に激しい痛みが走った。右手からスマホが滑り落ちる。畳に手をついて、逆の手で胸を押さえると、歓喜天がガタガタと震え出した。痛みに耐えきれず倒れ込み、視界いっぱいに歓喜天が映ったところで、昴は意識を失った。
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