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「突然ここに連れて来られて、驚く気持ちもわかるが、驚いている暇がないくらい、俺でいっぱいにしてやる」
昔から、先輩の言葉には説得力があり、素直に心へと響く。どんなところに住んでいても、私の知っている蒼空さんに、変わりはないのだ。私が、少しずつ慣れて行くしかないのだろう。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ。荷物を片づけてしまおう」
リビングに来るまでにあった扉のひとつが、ウォークインクローゼットになっていた。広々としたクローゼット内の、空きスペースを使わせてもらう。引っ越して来ても、私の部屋の荷物が充分に収まる余裕が、まだまだあるのだ。
リビングに戻ると、蒼空さんがキッチンに立っていた。キッチンも、私の一人暮らしの部屋とは違い、広々している。
「コーヒーでいいか?」
「うん。手伝うよ」
「俺が淹れるから、凛花はキッチンを見て、足りないものがないかを確認してくれ。足りない物を買いに行こう」
キッチンを見せてもらうも、普段から料理をするのか、調理器具は全て揃っている。
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