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「愛梨沙、、」大垣が、腰をかがめて、覗き込む。 その大垣に抱きつき「うわ~ん」愛梨沙は、大声をあげて泣き 「嫌だ、、絵瑠が、、死んだら、、嫌だ、、」と、しゃっくり上げる。 「大丈夫、大丈夫だ、絵瑠は強い、誰よりも強いんだ」 大垣は、背中を擦りながら「だから、愛梨沙を置いて、死んだりしない」 と、自分にも言い聞かせる様に言う。 泣き止んだ愛梨沙は、まだ濡れた目で「ほんと?」と、聞く。 「ああ、本当だ、話せるようになったら、見舞いに行こう」「うん」 「それまでは、ちゃんと学校へ行くんだ、絵瑠を心配させない様にな」 「うんっ」愛梨沙は、真也と一緒に、自分の部屋に行く。 「ごめんな、愛梨沙、絵瑠は、俺を庇って怪我をしたんだ」 真也は、今にも泣きそうな声で言った。 「じゃ、真也も一緒に行こう」「え?どこに?」 「学校へ行く前に、神社に寄って、神様に、お願いするんだ」 「そうか、それは良いな」真也は、少し元気になって、一緒に出掛ける。 二人は、真剣に「絵瑠の怪我が、早く治ります様に」と、祈った。 愛梨沙を、学校まで送って行った真也は、とぼとぼと、リリーに帰って来た。 「真也、シャキッとしろ、こんな時でも、異人は出るんだぞ」 大垣が、真也に、はっぱをかける。 「そうだよ、絵瑠が居ない間は、お前がしっかり、守らないと」 と、茉菜も言う、自分の所為だと、落ち込んでいる真也を 元気にさせるには、そう言うしか無かった。 「異人が出たら、近い区から手伝いに来てくれる事になったが お前も、もうそろそろ一人前だ、頑張らないとな」 そうだ、絵瑠が居ない間は、俺が頑張らないと、、 真也は、やっと気持ちを切り替えた。 それから四日目、絵瑠は、集中治療室を出て、普通の病室へ移った。 少しの間なら、面会できると聞き 愛梨沙は、大垣や、真也と一緒に見舞いに行く。 包帯だらけの絵瑠は、まだ両手に点滴、身体のあちこちに 色々な管が繋がれていて、顔は、真っ白と言う、無残な姿だった。 それでも、愛梨沙を見て、少し笑う。 「絵瑠、、、」こんなに酷い怪我だったんだ。 愛梨沙は、それ以上、何も言えず、涙を、ぽろぽろと零した。 その横で、真也も涙を流していた。 こんな姿なのに、良く助かってくれたと言う、安堵の涙だった。 「絵瑠、よく頑張ったな」大垣は、そう声を掛けた。 絵瑠は、軽く頷いた。 「今日は、これ位で」と、看護士に言われ「絵瑠、また来るからな」 皆は、心を残しながら、病室を後にする。 「マスター、あんなに一杯、管が付いているのに、本当に大丈夫なの?」 愛梨沙は、心配で堪らないと言う顔で聞く。 「大丈夫だ、だから、面会が許されたんだからな」 大垣は、嬉しそうな声で言った。
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