欲情®️

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ねぇ。 ノエル様、どうして来てくれたの? ロザリア様は? どうして僕に……キス、してくれるの? どうして、何も持っていない 僕なのに。 ネオ様が言うように ……オメガ、だから? 生まれ持った本能だと ネオ様は言っていた。 それじゃあ、僕じゃなくても……? 他の……オメガでも? ノエル様はこんな風に甘やかに キスを落としてくれるのだろうか。 心臓がツキン、と刺されるような痛み。 頭の中にとめどなく疑問が浮かんで混乱しているのに。 「なに考えてるの。」 「ふ、……ぅ、ん、ノエルさま 待って……話……っん、できな……」 啄むように離れない唇。 ふわふわ甘くて、気持ち良い感覚に ……どうだって良くなる。 ノエル様が僕に触れる それだけで不思議と安心して 胸がいっぱいになる。 他の人になんてしちゃ、やだ。 ……僕だけが良い。 そんなこと、言えない。 でも やっぱり僕はノエル様のことが……。 涙が一筋頰を伝って落ちる前に 必死に両腕を回して ぎゅっとノエル様の首にしがみついた。
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