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「レイ……君の名前に
どうかな。」
「!」
ノエル様が、15歳の誕生日に
僕に名前をくれた。
希望の光という言霊があるらしい。
そんな勿体ない名を僕に付けてくれるなんて畏れ多かったけど
彼に名前を呼ばれるたびに
誇らしくて、嬉しい気持ちになる。
あの頃は、必死に頷くしか出来なかったけど
本当に、本当に嬉しかった。
生まれた時から獣人に名前なんてない。
あるのは種族の型名だけ。
鳥、猫、兎、戌、虎、鼠。
ご主人様が僕らを、ヒトと扱ってくれなければ
僕ら獣人は、ただの動物。
人間ではないのだ。
生まれてから、僕をヒトとして扱ってくれたのは
今目の前にいる、ノエル様だけ。
この恩を返したくて、声が出るようになってから毎日ノエル様のために曲を作っている。
僕に出来ることは歌うこと。
……それしかない。
ノエル様の為に出来ることが、もっと
……もっと、あればいいのに。
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