Journey got his cigs

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 ちぇっ、何だよ。あの人、いつも安い方。  頭のおかしい大人が笑いながら捨ててた。コレも頭のおかしい商売道具。封なんか開けないよ。新鮮じゃないと売り物になんないんだから、当然さ。  大人は頭がおかしいから、みんなして直ぐ死にたがる。酒飲んで、安い葉っぱ吸って、高価い葉っぱも吸って、寝る間も惜しんで寿命を削る。本当、頭がおかしいんだ。そんな事しなくたって、どうせ直ぐ死ぬのに。  家族?いたよ、昔ね。父親と母親。  父ちゃんはゲリラ。国を守るだなんて、頭のおかしい格好して草むらに隠れて、直ぐにみつかって、捕まって、頭がおかしくなって、みんなの事、全部喋っちゃった。  母ちゃんはそのせいでみんなから殴られて、散々に痛い事されて、オイラそん時その場にいたから、頭がおかしくなって、キャーとかヒーとか笑い転げて死んじゃった。  生きてるのはまともなオイラだけ。頭がおかしくなった順に死んでいく。だから大人から死んでくんだ。  テッポー持たされた事もあった。それで『オイラ達じゃない人間を撃て』って、頭のおかしい大人に命令された。  だけどそんな命令、きくわけないじゃないか。だってソイツ大人なんだから、もう直ぐにでも死んじまうんだから。  そのままだと巻き込まれて死んじまう。良くしてくれるニイさんが逃げるっていうからついてった。バッグに小さいテッポーと弾をつめて、ソレもってくれば連れてってやるからって。途中の村でニイさんに置いてかれそうになったけどごめんだよ。だって村には大人がいるんだ。死んじまう。  北と南の真ん中を越えて。そん時やっぱり大人は頭がおかしいって思ったよ。だって真ん中には、線なんて引かれてなかったんだから。  誰が誰と戦ってるのか、みんな多分知らないんだ。テッポーを撃つ相手の顔も知らないんだと思う。だってそうだろ?死んじゃった大人は、子供だって、半分はオイラと同じ人間だったんだ。  もう半分?簡単だよ、腕がなかったり足がなかったり、頭だけあるヤツもいたかな。ホラ、分かりやすいだろ? 「坊や。コレ。いくらだい?」  オイラ達じゃない人間が話かけてきた。右の膝から下がない。つまり頭のおかしい大人が撃てって言ってたヤツ。さっき拾ったばっかの葉っぱが欲しいみたいだ。安い方?シケてやがる。  高価い方を買ってくれよって言ったらこっちじゃダメだって。土に埋めるの?バカなんだ。生えてこないよ、やっぱり頭がおかしい。  あれ?でも、だとしたら、コイツも他の大人と同じって事になっちまう。  オイラ達じゃない人間って、じゃあ誰なんだ?  よてよてと歩き去る、頭のおかしいアイツは、オイラにテッポーを持たせた大人と、同じ人間?  そーかそうなのか。なんだよアイツ、ゲリラじゃないか。  じゃあアイツが、父ちゃんと母ちゃんを殺したのか。
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