Journey got his cigs

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 ヒデぇ気分だ。どうしてこううまくいかねぇんだ。  面倒見てるガキが煙草を持ちこみやがった。勘弁してくれよ。ゲリラから奪い返しただぁ?なんだゲリラって、誰だゲリラって。最悪だ。  煙草は例の銘柄。この銘柄をみるとあの女、ボスの情婦だったあの女はイカレちまう。なんだってんだ。  そもそも子供が無事に産まれちまったのがダメだったんだ。殺せって命令だったけどよ、上手くやれば稼げるかなって、事情を話してこっそり逃がしてやったんだ。  それがある日ふらっと帰ってきて、しかも子供は死んじまってた。ヒデぇ話だ。  まぁとにかく煙草は隠しとかなきゃならねえ。そろそろあの女が来る時間だ。  金を寄こせ、でなければ坊っちゃんに会わせろ。なんてさ、状況は変わったし今度は随分悩んだよ。でも、まだどうにか使えないかなって、結局生かしておいた。諸々の口止め料で潤ってたからな。  でも今は戦争中だ。ウチも後ろ暗い事やってるから、警備も厳重だし外出もほぼない。少なくとも戦争が終わるまではずっとそうだろう。だから今は田舎に帰れっつったんだ。ちょっと待ってろって。今も言ってる。でもどんだけ言っても聞きゃしねぇ。いやそれは分かってる。兵隊さん等が例の煙草をもってるからだ。昔はここらじゃ中々手に入らなかったのに、奴等が来てからはあの銘柄で溢れかえってる。だからあの女は元に戻らない、どうかしているまま。  はぁ……まぁいいんだもうそんな事は。ガキから煙草を取りあげて懐に隠す。なんでもそのゲリラは頭がおかしかったみたいで、煙草の箱みて『星空の箱、星空の箱』とうわ言を呟いていたそうだ、って?知らねぇよ。なんだ星空の箱って。あとゲリラってのを止めろ。何だと思ってんだ。  ガキの頭を引っ叩き、怒鳴りちらす。  と、部屋の入り口が、カタッと音を立てた。 「にいさん、ゲリラになったの?」 じゃあ殺しに来たんだ。  呟いて、走って行っちまう女。ヒデぇ、目がどうかしちまってた。  コイツはいよいよヒデぇ。オレは急いで金目のものをバッグに詰め込む。引き出しを開ける。ガキから巻き上げた銃がねぇ、アレ?いつからねぇんだ。まぁいいか、お守りさ。  さぁどうする?このままトンズラか。女は流石に警備が止めるだろう。そしたらバレる。逃げ切れるか、どうだろう。  いっそ通しちまうか?ははっ、それも良いかもしれねぇな。そしたら火事場泥棒だ、人を裏切ってばっかりのオレは、今更だ。  はぁ、ヒデぇ。なんて日だ。金払いは良かったのに。ボスも、坊っちゃんも。
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