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「あ、あとさ、ユナイテッドの広瀬って分かる? センターバックの十二番の。俺の友達なんだよ。広瀬は絶対に近い将来、日本代表に召集されるから、応援してやって。あ、あと、葦沢高校! 俺の母校なんだ。サッカー部のコーチが元チームメイトなんだよ。今年も全国出るから応援して。あとは……」
話の止まらない粋の腕を引っ張っろうと思ったが、意外にも男の子は目を輝かせて粋の話に聞き入っていた。
「君もサッカーをやってるの?」
粋の問い掛けに男の子は大きく頷いた。
「うん! 御坂さんと同じフォワードだよ。でも、あんまりシュート決まらなくなった。前はできたのに」
男の子の眉が下がった。
「同じフォワードなんですね」
隣に座る母親に寿は話し掛けた。
「はい。小さな頃からやっているんですけど、最近、成長と共に上手くいかないことが多いようで。新しく始めた友達のほうが上手だったりして、辞めたいって話す時もあるんです」
誰でも抜かされるのは辛いし苦しい。
寿は粋を見た。
何て答えるのだろうか。諦めるな、逃げないで頑張れって発破を掛けるのだろうか。
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