Falling Down sui side

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 走りながら考えた。  基本、俺は単純だ。  難しく考えるよりも、まずは動いてきた。時には、いや、時にはじゃない、いつもだ。いつも、何か悩みがあれば、仲間が聞いてくれた。適切なアドバイスをくれた。  こうやって寿と付き合えているのも、初めてのデートが成功したのも、全部、仲間たちのお陰だ。  それなのに、一人で阿呆みたいに悶々と悩むから、こうなるんだ。  きっと皆に話したら、何も考えなくていいって言われるだろう。  そうだ、指輪は内緒にしよう。  プレーオフが終わったら、渡すんだ。  ちゃんとしたプロポーズの言葉と一緒に。  そうだ、薔薇の花も贈ろう。九十九本の薔薇の花束には、確か『永遠の愛』って意味がある。  サプライズだ!  粋はサプライズをしなくていいと寿に言われたけれど、やっぱり驚かせたい。喜ばせたい。  今日の電話で言わないように気を付けないといけない。  星が綺麗だった。冷たい空気が、頭の靄をさらに晴らしてくれてちょうど良かった。
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