だまされないぞ、ヴァンパイア

1. おいでませコスプレレイヤーさん

　ここはコスプレイヤーさん……レイヤーさんにはそこそこ有名な、さびれた遊園地。

　城っぽい建物があり、庭園に見えなくもない花壇があり、小さいけどメリーゴーランドやコーヒーカップなんかの乗り物もある。
　しかもほかとは違う特徴があった。

　それは……園内ならコスプレ及び撮影自由！

　古くてもリアル遊園地だから、背景の説得力が抜群だ。
　むしろその経年変化が良いという人もいる。

　遊園地デートや芝生スペースでピクニックな一枚。
　ちょっと木の多い場所では、冒険の一幕っぽい演出も可能だ。
　城っぽい建物は中世ヨーロッパ風の衣装やウエディングドレスも映える。

　和の建物はないけど、謎に桜の木が何本が植ってるから、満開の時期には幻想的な写真が撮れる。

　ここまで語ればお分かりいただけただろう。

　この遊園地はレイヤーさん頼みで存続していた。
　週末にはキャリーバッグを携えた人たちがゾロゾロやって来る。

　その様子に家族連れが圧倒されるせいか、地元の子どもたちは『コスプレ遊園地』なんて呼ぶ。
　コスプレが一番印象に残るって、遊園地としてはどうなんだ……と思わなくもないが、事実は無情だ。

　だって、私もレイヤーさん目当てでバイトしてるから。