7. 今度は大人バージョンですか

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 ただ頬を染めているのはいただけない。  コスプレに照れは不要だ。  羞恥心を超えた先に、非現実を宿す力が手に入るのだ。  こっちはやっとの思いで笑顔を保っているのに、男は視線をうろうろ彷徨わせながらゴニョゴニョ話した。 「先日は……世話になったな。また会えるとは僥倖だ」 (世話になった? また?)    あの子と私が会ったのを知っている。  先週の話を聞いたのかもしれない。  やっぱり彼らは他人の空似ではなさそうだ。 「今日あの子は来てないんですか」 「あの子とは?」 「先週、あなたによく似たお子さまに会いました」 「ああ……それは私だ」 「そ、そんな訳ないでしょう。大人と子どもじゃないですか」 「しかし同一人物だ」 「……そういう設定なんですか?」 「ん?」  吸血鬼キャラの、幼少期と成人期の『併せ』をしていたのだろうか。だったら同一人物という説明も納得できる。 「何だ。あちらの我に会いたいか」 「あちら?」 「会わせてやってもいいが、代わりにまたお主の血をよこせよ?」 「どういう」  意味?……と聞き終わる前に、男の右胸に穴があいた。  (――は?)  沈みかけの夕日よりも紅い血しぶきに眩暈がする。    (待って、グロはちょっと守備範囲外――)  目の前が真っ暗になった。
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