8. 再会

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 冷たい指先がさらさら滑ってくすぐったい。  笑いながら肩をすくめたら、後頭部と肩を押さえられ、小さな口がぱかっと開いて近づいてきた。  煮詰めた苺ジャムみたいに濃い色をした瞳の真ん中で、熱っぽい光がゆれている。   「待って!」 「何だ」 「絶対噛まなきゃいけない?」 「ああ」 「首じゃないとダメ?」 「回復が早いからな」 「噛まれたら……また私は気絶するのかな」 「そうかもな」 「じゃあ、目が覚めるまでいてくれる?」 「いいだろう」  ではと近づいてきた顔面を、私は両手で挟んだ。 「まだ何か?」  思いきりしかめた顔もかわいい。   「起きたら写真、撮らせてほしい」 「気は進まないが……いいだろう」 「それと」 「これ以上は後にしろ」  後頭部と肩に置かれたままだった手に力が入る。先週よりも強い力で、彼に引き寄せられた。  今日はチクっとした痛みを感じて、噛まれたのが分かった。
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