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9. そうじゃない再会
目が覚めると、またもマントがかけられていた。
「起きたか」
「あれ?」
大人バージョンかあ。
「あの子はどこですか」
「だから、同一人物だと言ってるだろう」
「そういう設定なんですよね?」
彼は思いきり眉根を寄せた。
「さっきからお主が言う“設定”とはなんだ?」
「え? だから“弱体化すると子どもになる”っていう物語の設定があって、あなたとあの子で大人版と子ども版の『併せ』をしてるんですよね?」
「解せない……我は吸血鬼で、物語の登場人物ではないぞ?」
だからそれ込みの設定でしょって話をしてるのに!
「そういうのは一旦置いときましょう。あなたがレイヤーとしての誇りがあるのはよく分かりましたので」
「???」
なんか眉の皺が増えたけど、それも一旦置いておく。
空が夜に近づいている。
あんな小さな子がうろうろしてると考えたら心配で落ち着かない。
(っていうか写真撮る約束したし!)
立ち上がった私を吸血鬼が呼び止めた。
「何処へ行く」
「あの子を探しに行くんですよ」
「だから同一人物と――」
「ですから!」
私は大きく息を吸った。
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