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3. 吸血鬼、いたりしない?
「田中って、あのコスプレ遊園地でバイトしてんの?」
金曜日の放課後、クラスメイトの神谷に背中をトンと叩かれた。
いつも静かに本を読んでいる彼から話しかけられたのは初めてだ。
驚いて表情を伺うけど真っ黒な前髪が長くて、メガネ越しの瞳は見えなかった。
「そうだけど。神谷、コスに興味あるの?」
「まあね。ハロウィン近くなってきたしさ、それ関連の格好した人いたりすんのかなって」
「いるいる。来週が一番多いかも」
神谷は真面目な一匹狼のイメージだったから、コスに興味があるなんて以外だ。
なんなら同じ沼に落ちてこないかなーという下心が大きくなる。
「明日シフト入ってるから、気になるレイヤーさんいるなら探してこようか?」
「じゃあさ、首輪してる吸血鬼いたら教えてよ」
「あはは。何それ変態っぽい。原作何?」
「別に大したやつじゃないって。頼むよ」
「いいよ。それっぽい人いたら言うね」
「ありがと」
そう言って立ち上がると、神谷は帰って行った。
(原作教えてくれなかったな。……えっちなやつなのかな)
なんてったって“首輪をした吸血鬼”だ。
フェチズムの香りがする。
明日はセクシーお姉さんに注意してバイトしよう。
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