5. 生意気な少年ヴァンパイア

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5. 生意気な少年ヴァンパイア

 神谷と話した通り、ハロウィンが近いせいか今日はレイヤーさんが多い。ハロウィン併せを何組か見かけた。みんなそれぞれ趣向を凝らしてて見応えがあった。ありがとうみなさん。 (ミカンさん達の併せも眼福だったな〜)    夕方が近くなってきて、帰り支度をする人が増えてきた。    頑張ってるとはいえさびれた遊園地。  パレードや派手なライトアップの類いは無いから、日が沈む前にほとんどの人は帰ってしまう。    私も視界が悪くなる前に、芝生や花壇のゴミを探す。  せっかく楽しんだ一日の終わりに、ポイ捨てされたゴミなんて見てほしくないもんね。  人が多かったわりにゴミは増えてなくて、助かるなぁなんて鼻歌混じりに移動しようとした時だった。   「そこの掃除婦!」  子ども特有の、高くてよく通る声がした。  最初“ソウジフ”の脳内変換ができなくて、誰を呼んでいるんだろうと周りを見渡した。でもほかに人影はない。 (もしかして私?)    振り返ると、小学校に上がってるかどうかと思うくらいの少年が立っていた。  じっと私を睨みつけている。 「そう、箒を待ったお前だ」  なんか態度悪い子だな。  ため息を我慢して、接客用の笑顔をつくった。 「何かご用ですか?」 「用があるから呼んだのだ」  腕を組んでフン!とそっぽを向いてしまった。  その隙に少年を上から下までじっと観察する。   (おお……初めて見るキャラだ)    パッと見は吸血鬼、ぽい。  口を開くと目立つ八重歯に黒マント。透けるような銀髪は肩の高さで切り揃えられている。血を思わせる赤眼がキラキラ輝いていた。 (あ! 首輪)
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