6人が本棚に入れています
本棚に追加
6. 神谷に報告
「いたよ。首輪つきヴァンパイア」
月曜日。登校してすぐ神谷に報告した。
分厚い本の文字を追っていた視線が止まり、しばらくしてから私を見上げた。
「……本当か?」
「本当だよ!」
噛みつかれたショックで気絶した後、割と短時間で私は復活したらしい。
芝生で目覚めた時、空の色は変わっていなかったから。
でもあの少年は消えていた。
(迷子はいなかったからお家の人に会えたんだろうけど……でも体調悪そうだったし心配)
「神谷はあの子のこと知ってるの?」
「あの子?」
「首輪つきの吸血鬼。まだ小学一年生くらいの子どもで、体調悪そうだったんだよね。私その子に噛まれて気絶してさ、気づいたらいなくなってたの。ちゃんと帰れたのか気になって」
「噛まれたのか? 首を?」
「ううん。手首」
「そうか……なら、まあ」
「何か知ってるの?」
「まだ確信が持てない。来週もバイトか?」
「ううん。でも普通に行くつもり」
もはやルーティンだからね。
「ふーん、じゃあ俺も行こうかな」
「え?」
「知ってる奴か確かめたい。会った時間と場所の案内をしてくれるか?」
「いいけど」
決まり、と薄く微笑んだ口元以外は、相変わらず髪で分からない。
けれど、なんとなく楽しそうに見えた。
最初のコメントを投稿しよう!