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「まずはお化け屋敷です」
え!
私はあからさまに表情を変える。
「先輩? もし怖いなら別の実験でも……」
「なーに言ってるの! 怖い訳ないでしょう!」
私は豪快に笑ってみせた。しかし……。
十分後。
私は身震いを起こしながら外に出てきた。
「先輩、意外と怖がりですね?」
「うるさい! ……後藤くん、怖くないの?」
「全然」
余裕の顔がムカつく……。
後藤くんと一緒にバイトをして一年。ポーカーフェイスの彼は一度も笑ったり、怒ったり、驚いた表情を見せたことがない。いつも感情を出さず、冷静沈着で理論的な性格だ。
「先輩は今、何故震えていますか?」
「そんなのお化けが怖いからに決まってるでしょう!」
あまりの恐怖に本音が漏れた。
「そう。自分の意思と関係なく起きる震えを生理的振戦と呼び、『怒り』、『緊張』、『恐怖』などを感じるとそうなります。他には、どんな時にそうなりますか?」
私はハッとなり後藤くんを見る。
それは……。
「第一の実験終了です。お化け屋敷では『恐怖』を感じ、手足と声帯が震えた」
黙り込んだ私の代わりに後藤くんが話す。
気を使ってくれているのかな。
「それでは第二の実験。次はあれです」
指差された先はジェットコースターだった。
前言撤回、全然気を使ってない。
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