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「無理してない?」
聞くと、灯吾は目を閉じてクッと下唇を噛んだ。
「実は……」
その反応に私は言われるかもしれない最悪な言葉を考える。
“お守は面倒”、“もういいだろ?”……考えただけで胸がズキンと痛んだ。
「さっきのティラノサウルスが引っ掛かってズボンがちょっと破れたーっ!!」
ほら、と見せてくるそのスラックスは確かに小さな穴が空いている。
だが、そんなことを聞いたんじゃない。
「あのねぇ、そうじゃないでしょ?」
「じゃあ、何?美月は俺のこと好きじゃねぇの?」
「え?」
足を止めた灯吾にじっと見られて反応に困った。
「好き?」
「……」
「好きじゃない?」
「…………どうだろ……?」
「おいっ!!そこは“好き”って言えよー!!」
真剣に考えていると灯吾が喚く。
もう解放しよう!別れよう、と思ったのに辛い気がしたのは確かだった。
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