6. つなぐ、あなたの証

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あれから数年経ったが、もしもその木が育っていたら嬉しい。花梨が生きていた証のように、カリンの木がその命をつなぐのだ。 「リンリン、今年も実がなったよ」 手にする黄色い果実。それはいつも花梨を思い出させてくれる。 するとニコニコと小春日和みたいな笑顔を浮かべた娘が、カリンの果実を腕一杯に抱えてやってきた。 「お母さん、コンポートも食べたい!」 「うん、じゃあどっちも作るね」 「やったー」 当たり前ではない毎日。 私はそれを噛みしめて生きてる。 いつかあなたに会った時に、誇れる自分であるように。 (了)
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