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アリスはこの村の路地を知り尽くしている、その知識を評価したクレアの判断で、三人で行動することになった。
「既に町へ向かったのか、残っている兵士たちはザッと百人ほどか」
路地裏の壁に張り付きながらクレアが言った。
百人も村を取り囲んでいるなんて。たった三人でどうにかなるのかとアリスは恐怖を覚えた。
「どうするんですか? こっちは女三人なんですよ? 大剣豪のガイがいるわけでも爆炎の魔法使いのサキがいるわけでもないのに、勝てるはずない」
ガイ、サキ、それはこの国が誇る英雄の名前だった。
「そりゃあ、この国の最大戦力はココにいないけど……」
ヒナが口を挟み、アリスに微笑みかける。
「ココには私たちがいるでしょ? いない人を待つんじゃなくて、私たちができることやるの。そうすれば活路は開かれる……かもしれない」
「かもしれない、なんだ」
アリスはヒナの言葉に思わず笑った。ヒナも笑った。
「とは言っても、さすがに全員倒すなんて無理だ」
クレアが言った。
「じゃあ、どうします? クレア様」
「陽動作戦でいくしかないでしょう。ヒナ、貴方の帯の隙間にアレを用意してましたよね?」
「ああ、アレ」
「アレをこの村のあちこちで使いましょう。混乱に生じて統率者を抑えます」
「承知」
「二手に分かれましょう。アリスさん、ええと貴方は」
「私と来て」
ヒナがアリスの左肩に右手を置いた。
何を指示されているかはわからないが、「この人たちの指示に従えば大丈夫だ」アリスにはそんな感覚があった。アリスは「はい!」と頷いた。
「ヒナさんのお役に立てるように頑張ります」
「ヒナでいいよ」
「え……」
「私たちはもう仲間だから」
ヒナの微笑みに釣られて、アリスも微笑んだ。
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