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*  轟音が響く。地響きが起こり、両耳を塞いでいても身体に振動がビリビリと伝わる感覚があった。  ヒナが帯に仕込んでいたのは僅かな量でも効果をもたらす「爆薬」だった。  これをヒナとクレアが二手で村中で爆発させることで兵士たちを混乱させることが目的だった。 「アリスの村を傷つけちゃってごめんね。なるべく建物や大きな道は傷つけないようにするから。あ、クレア様もそうしてるはず」 「……もうこの町はだいぶ錆びれてましたから、大丈夫です」 「……でも」 「戦争が始まってこの村は見捨てられていたようなものです。王に会ったら言ってあげたいです。これが貴方の国の状態なんだって」 「そう……だね」  そう応えるとヒナは沈黙した。 「私は国王の顔さえ知らないんだけどね……ヒナは国王に会ったことがあるの?」 「え?」 「さっきからの様子を見てれば貴方たちが普通の人たちではないことぐらい、私にもわかる」 「……一応、言っとくけど、クレア様は王じゃないよ? 嘘じゃないよ? ましてや私はお供をしているだけだし」 「普通の人に『お供』なんていないですよ……」 「え、あ……うん……」 「その答え方、なんか怪しいなぁ。まるでクレアさんがこの国の――」 「アリス!」  ヒナがアリスの腕を引っ張った。急に引っ張られたのでアリスは転びそうになるがヒナの背後になんとか回り込む。  ヒナが剣を抜いた。アリスがそう感じたときにはヒナは既に剣を横に薙ぎ払い何かを切った後だった。 「グ……ア……」  いつのまにかアリスの後ろに迫っていた兵士が崩れるように倒れた。 「アリス! 逃げるよ……」  ヒナはアリスの手を再び引こうとしたがそれはできなかった。 「動くな。動くとこいつを殺す」  ヒナの背後からも迫っていた兵士たちがアリスを抱えるように抑えていた。
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