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*  兵士は五人以上もいた。  この人数を相手にして、アリスに危害がないように彼ら全員を倒す、それはさすがに無理なことだった。 「離せ! その子は一般人だ。殺すなら私にしなさい!」  ヒナが叫ぶ。 「ならば剣を捨てろ。オマエが武器を持ったままでこの娘を渡すことができるか!」 「……その子を離すと約束するか?」 「……こんな少女(ガキ)一人じゃないもできんからな。オマエは殺す必要があるが」 「わかった」  ヒナは剣を地に捨てた。 「ヒナ!」 「ごめんね、アリス。怖い目に遭わせちゃって」  ヒナはアリスに微笑んだ。  アリスはその場に捨てられるように離された。アリスは地に倒れ込む。  そして、兵士二人がヒナの両腕を抑えた。そして無理やり地面へとヒナを叩きつけるように倒した。 「この娘は危険だ。捕虜になどできん。この場で首を()ねろ」 「やめて! ヒナを殺さないで!」  ヒナから兵士を剥がすべくアリスは兵士の一人の背中を落ちていた木の棒で叩いた。しかし、屈強な兵士たちにそんな攻撃なども通じるはずはなかった。 「ええい、邪魔だ!」  造作もなく振り払われ、アリスは地面に倒れた。身体中に激痛が走り、悲鳴をあげそうになった。  しかし、悲鳴をあげている場合ではない。自分を救ってくれたヒナを死なせるわけにはいかない。痛みに耐え、アリスは立ち上がると再び兵士に向かおうとした。 「アリス、逃げて! 私はどうなっても大丈夫! この国は! この村は! 希望を捨てない人がいる限り大丈夫だから!」 「ヒナを離して!」 「うるさい奴らだ。さっさとそのガキの首を刎ねろ」  兵士の一人が大きな剣を振りかぶった。 「やめて! やめて! 嫌あぁぁ!!」  アリスは泣き叫びながら特攻した。  しかし、兵士の一人の腕振りでまたもアリスは振り払われた。  誰か、誰でもいいから、ヒナを救って! こんな無力な自分の命を差し出してもいい! この村を救ってくれようとした人を助けて。  アリスは力の限り叫んだ。  その時だった。  雷が落ちたかのように空気に轟く音が響いた。
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