きっと貴方は死神

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 俺はとてもこの後仕事に集中できるとは思えなかったため、取り敢えず今日は会社を休むことにした。そこで時間ができた俺はじっくり考えて、ある結論を導き出した。  きっとあいつは死神だ。明らかに俺の命を奪い取ろうとしているし、物騒な名前だった。そうだ。きっとそうだ。だとすると、次会ったときには殺されてしまうかもしれない。早く解決しなければ。  誰に相談したものかと悩んだが、命が狙われているのだ。近くに警察署があるため、俺は歩いて警察署に相談しにいくことに決めた。ここ二日間で起こったおかしな出来事をまとめた紙を鞄に入れて出発した。  そしてようやく警察署の前まで来たところだった。不思議な引力が働いた。俺は帰りたくなったのだ。踵を返して帰り道を辿り始めた。  なぜか、彼女のことを傷つけてはいけないと思った。彼女のことを警察に相談したら、彼女を危険に晒すことになると思った。彼女の前に俺が危険に晒されているというのに。それでも、俺は彼女のことを見逃そうと思った。その思考の根底には、もう一度会いたいという気持ちがあった。  俺は彼女に確認しなければいけないことがある。それは……。  俺の中でずっと渦巻いていた違和感が一つの考えを形作った瞬間、俺はふらついてその場に倒れ込んでしまった。  そこからの記憶はなく、俺は気がついたら自宅のベッドの上で横たわっていた。  キッチンには、あの女性が立っていた。死園呪樹だ。でも、不思議と驚かなかったのは、彼女の姿が重なったからだ。俺の妻に。  俺の妻は四年前に白血病と診断され、そこから長い入院生活を経たものの、亡くなってしまった。 俺は声をかけた。 「きっとお前は死神だよな?」 彼女は答える。 「ええ、そうですよ」 俺は続ける。 「そして、きっとお前は俺の愛する人だ」 彼女は微笑んだ。
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