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それから三日。
俺の頭の中は、とても静かだった。
たとえ理人さんがソファで隣に座っていても、心の声は聞こえてこない。
でもそれは、例の能力が失われたからではなかった。
理人さんが、俺に触れそうで触れない絶妙な距離を保っているからだ。
俺は、今でも理人さんが好きだ。
大好きだ。
他に好きな人ができたりなんてしていないし、神社で再会した地元の仲間たちとLIMEを交換したのは事実だけど、告白したりされたりなんてことは、もちろんない。
それでも、俺には理人さんとセックスできない確固たる理由があった。
それは、
心の声ダダ漏れ状態の理人さんと致したりしたら、一体どうなると思う!?
表の声だけでも十分エロ……かわいいってのに、そこに、
(あっ……佐藤くんの、おっきい……すき……っ)
とか、
(もっと、突いて。むちゃくちゃに、してぇ……だいすき……っ)
とか、
(あ、いくっ、いっちゃう……あいしてる……っ)
とかが加わるんだぞ。
そんなの、誰が耐えられるかってんだ!
十秒ももたずにイっちゃって、「早漏!」だの、「変態!」だの、蔑まれる未来しか見えない……!
でも、俺のへたれ下半身のせいで理人さんが離れていくのは、もっと嫌だ。
だから。
だから俺は、
「理人さん!」
「えっ……ええっ!?」
「しましょう!」
「は……?」
「セックス!」
「はあ!?」
「ていうか、します!」
理人さんと、セックスする……!
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