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今日最後の授業が終わった途端、疲労感と安堵がどっとのしかかってきた。
授業が終わって安堵するなんて、私、どうかしている。今夜はしっかり復習をしないとまずいかもしれない。
椅子から立ち上がると、激しい頭痛に襲われた。少し遅れて吐き気もこみ上げてくる。なんとか帰り支度をして教室を出るところで、目眩を起こして男子にぶつかった。
「うわ、汚ねっ。凄え汗」
去り際に舌打ちをされる。言われて額に手をやると、水でもかぶったのかと思うくらいの汗をかいていた。
一体どうしてしまったのだろう。体調なんか崩している場合じゃないのに。工場を休むわけにはいかないのに。
耳の聞こえが悪くなってくる。教室の方から鴻君が私の名を呼んでいるような声が聞こえたが、きっと気のせいだろう。列車に乗れば、工場の最寄り駅に着くまで座れる。その間になんとか回復させよう。
どこをどう歩いているのかよくわからない。脚が無意識に動いているのだが、多分地下鉄道の駅に向かっているとは思う。
蒸し暑い。頭が痛い。気持ち悪い。
体調に負けるな。仕事に行かなきゃ。頑張れ、頑張れ、頑張れ……。
そんなことを、ずっと考えていたように思う。だが私の記憶は、そこで幕を引くように途切れた。
暗闇に落ちる前のわずかな記憶の残滓は、遠くから私を呼ぶ声。
そして、大きな手のぬくもり。
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