忍びの掟よりも目立ちたいっ!

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 垂直のガラス窓を踏み締め降りていく咲耶。それを包囲するように追いかけ走る八人の忍者達。 「お覚悟を!」 四方八方より四方手裏剣が飛んできた。八人の忍者全員が咲耶の回避先を見越して打ったものである。 「ちょっち、避けるのは厳しいかな? 避けてビルの下にいる人に刺さったら大事件だしなぁ」 咲耶はスマホを自撮り棒から固定するホルダーごと外し、上に向かって投げた。それから、飛んでくる四方手裏剣八枚の位置をしっかり見据えた。 「そぉら!」 咲耶は自らに向かって飛んでくる四方手裏剣八枚に向かって自撮り棒を振り抜いた。四方手裏剣の中央に開いた穴に自撮り棒が通され、串団子のように連なった。 「皆、返すよ! そらそらそら!」 咲耶は自撮り棒を振り、四方手裏剣を打ち返していく。打ち返された四方手裏剣はバナナのようなカーブを描きながら忍者達の忍者頭巾の頭頂部の先端に深く刺さり貫通しビルの壁面に刺さり動きを拘束していった。 咲耶がビルの壁面を駆け下りていく数秒の間に忍者八人は拘束、ビルの壁に刺さった四方手裏剣を頼りに吊り下げられる羽目になるのだった…… 「早く助け呼ばないと落ちちゃうよ~?」 咲耶はそう言うと同時に、ビルを駆け抜け降り終えた。 前転をしながら地面に飛び降りたところで、先程投げていたスマホが天から降ってきた。咲耶はそれをノールックでガッチリと受け止めた。 スマホであるが、忍者達の襲撃があってからずっと動画撮影中。その一部始終を動画で確認した咲耶はニヤニヤとした笑顔を浮かべていた。 「ビルを走る忍者達! きっとバズるぞ!」
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