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甲賀の里から抜けだした咲耶は大都市である甲賀シティにて居を構えていた。
ネット配信環境も整え、有名インフルエンサーになるためにバズるネタ探しに余念がなかった。
今日は高校の帰りにバズる(予定)スイーツの「塩スイカカフェオレシュークリーム」を購入したところで、咲耶は刺客の殺気を感じ甲賀シティを見下ろせるビルの屋上に行ったのだった。
刺客から逃げた訳ではなく、紹介動画の撮影中に刺客を見切れさせたくなかっただけである。
「さてと」
咲耶は自撮り棒の先にスマホを付け、自分が映るように伸ばした。それから、自分の肩を掴み一気に引いた。咲耶が着ていたのは、自分が通う甲賀シティ女子校の制服だったのだが、瞬く間に桃色の忍び装束へと変わってしまった。
この早着替えは忍者にとって初歩の初歩の忍術である。
咲耶は自撮り棒の先に付けたスマホに向かって満面の笑みを向けた。
ちなみに自撮り棒は伊賀の里の鍛冶屋に打ってもらった特別製で国宝級の名刀クラスの硬度を持つ、撮影に使うスマホも口寄せの術でスマホの付喪神に命じて手ぶれ補正をするように「お願い」をしている。
「こんにちわー! クリプトニンジャ咲耶ちゃんねるです! 今日はあたしの高校でも噂になってる『塩スイカカフェオレシュークリーム』にトライしてみようと思います!」
咲耶は一旦自撮り棒からスマホを外し、塩スイカカフェオレシュークリームの物撮りに入った。それに合わせて解説を入れていく。
「皮は赤くて、チョコチップがスイカの種みたいですね。塩もふりかけてありますね。ニオイはちゃんとスイカです~」
咲耶は塩スイカカフェオレシュークリームを二つに割った。中には赤いクリームがどろりギッシリと詰められていた。
「見て下さい! このギッシリ感! 重さも感じます! スイカの果肉とカフェオレクリームが綺麗に混じってますね。ちょっと四角いサイコロ状の果肉も入ってますねー! 歯応えもシャキシャキしてそうですね!」
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