忍びの掟よりも目立ちたいっ!

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「お覚悟を!」 もう一人の忍者も斬りかかってきた。咲耶は同じく忍者刀を凌ぎ受け止めた。二人は見合う体勢となる。その瞬間、忍者は面包を下に下ろしアヒル口を晒した。 「ププププッ!」 忍者は口の中に仕込んでいた含み針を吹き出してきた。針先には甲賀の毒薬が塗り込んであり、体のどこに刺さっても即死の猛毒である。 含み針は咲耶の頬に刺さってしまった。忍者は抜け忍の抹殺完了と感無量。 やっと里長(リーダー)に良い報告が出来ると油断した瞬間、首筋に激しい衝撃を感じた。 咲耶はいつの間にか忍者の後ろに回っており、自撮り棒で当身を食らわせていた。 そんな馬鹿な!? 即死の含み針が刺さった筈なのに! 忍者が薄れゆく意識の中、前を見るとそこにあったのは含み針の刺さった丸太であった。 所謂、変わり身の術である。含み針は奇を衒う攻撃、普通の忍者であれば忍者刀の凌ぎに集中していて、含み針までには気が回らない。もし、咲耶ではない忍者が同じ攻撃を受けたならば、今頃猛毒であの世行きだろう。 この含み針の奇襲は天才忍者の咲耶だからこそ回避出来たのである。 「ごめん、アヒル口嫌いなんだ。可愛いつもりでやってるならやめた方がいいよっ!」 咲耶はそう言うと、ビルのガラス窓を駆け壁面へと降りていった。残った八人の忍者もそれを追ってガラス窓を走っていく。
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