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 湾岸区域にある港湾物流会社の事務所兼倉庫。実際に会社名も表示されているが、内実は"REBEL(レベル)"の武器、車輛専用倉庫だ。もちろん、この場所を知っているのはメンバーの中でも前線部隊の限られた一部の人間だけである。  正面はシャッターで固く閉ざされておりシャッター脇の扉と裏口の扉から入るには暗証番号の入力が必要だ。両方には24時間監視カメラも設置されている。  限られたメンバー数10人はシフト制で常時寝泊まりしながら武器や車輛の整備と管理にあたっていた。中の事務所とは別にシャワーも浴びれるワンルームの居住スペースもある。  事務所と呼ぶより作戦室という言葉が似合いそうな室内。〈キルバーン・シティ〉全体の区画マップが大口径のモニターに常時映し出されている。赤く点灯している箇所が数カ所、これは現在〈キルバーン・シティ〉内にある"REBEL(レベル)"のアジトの場所を示している。 「で、現在連絡が取れないのは何人だ?」 「ハイ、1週間前から音信不通になっている者が3名でこれに加えて本日現時点までで計6名です」  副長の大友に隊のメンバーが答えた。  昨日から大友はここに泊まり込んで事態の情報収集にあたっている。1週間前から連絡が取れないメンバーが多発しているためだ。リーダーのハンスは今回の件に関して独自に動いて調べている。  "REBEL(レベル)"という集団がAI統治されているこの国、この街で、茶地な集団でない事はあきらかだ。それは国営から常に監視対象のトップに位置づけされている証である。だから、こういった事態にはメンバー全員が過敏に反応する。
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