初恋の子

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 今日は日曜日夏の太陽がまぶしい。 外はクマゼミの鳴き声が降り注いでいる。 「はるくん遊ぼ」  玄関の外から声が響く。 「ひなちゃん、おはよ」  ぼくは慌てて玄関の鍵をあけた。 太陽のようなひなちゃんの笑顔が飛び込んでくる。 「公園で遊びましょう」 「なにして遊ぶ」 「すべり台」  ぼくとひなちゃんは近くの公園に駆けていった。 勢いよく滑るひなちゃん。 長い髪が風に揺らめく。 ぼくらはブランコ、シーソー、ジャングルジムと遊び回った。 ある日、ひなちゃんが遊びに来なくなった。 夏は終わりかけていた。 お母さんが隣のおばさんと話しているのを聞いた。 ひなちゃんのお父さん、コロナのせいで事業に行き詰まったらしい。 一週間経ってもひなちゃんは来なかった。 ぼくは思い切ってひなちゃんのお家に行った。 人の気配はなかった。 誰も住んでない空き家が有るだけだった。 あれだけ仲良しだったのに、何も言わずに姿を消したひなちゃん。 ぼくはひなちゃんの面影を追って公園のすべり台に戻ってきた。 知らない子たちが遊んでいた。 秋になってもぼくはすべり台を見に行った。 ひなちゃんがいるかもしれないと思って。 でもひなちゃんの姿はなかった。 明るい笑顔、長い黒髪。 ひなちゃん、何処に行ってしまったの。会いたいよ。                                おわり
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